Orthopedic surgery
整形外科
こんな症状に気づいたら早めの受診をおすすめします
- 散歩のスピードがゆっくりになってきた
- 歩き方がおかしい、びっこを引いたり片足を浮かせたりする(跛行)
- 以前ほど外遊びを喜ばなくなった
- ブラッシングの時、足にさわられるのを嫌がる
- ソファや階段に登りたがらなくなった、行動範囲が狭まった
- 足が痛いのを気にしているような、関節を噛むような仕草をする
整形外科とは
動物の運動器(身体活動に必須となる骨や関節、筋肉、靭帯、腱、神経などの総称)に生じた障害を手術で治療する診療科です。対象となる疾患には、①骨折(骨疾患)、②脱臼、③靭帯損傷、④関節疾患、⑤神経疾患、⑥成長期疾患などがあります。疾患原因としては、遺伝的/先天的な要因や発育障害、交通事故や転落などの外傷、激しい運動による椎間板の変性、肥満による関節への過負荷、加齢による関節の老化などがありますが、腫瘍など他の病気が原因で発症することもあります。
整形外科は、文字通り“動く”ことで命を生かしている動物達の、歩く、走る、跳ぶ、屈む、蹴る、伸びるなどの運動機能を回復することを目的としています。動物にとって、自由に動ける体を取り戻すことは、日常生活の質=QOLの維持向上だけでなく、全身の健康や寿命にも大きな影響を与えます。
整形外科疾患
- ① 骨折(骨疾患)
- 橈骨尺骨骨折、上腕骨骨折、中手骨骨折、骨盤骨折、大腿骨骨折、大腿骨遠位成長板骨折、脛骨骨折、中足骨骨折
- ② 脱臼
- 膝蓋骨内方脱臼・膝蓋骨外方脱臼(パテラ)、肩関節不安定症、肩関節脱臼、肘関節脱臼、股関節脱臼
- ③ 靭帯損傷
- 前十字靭帯断裂、内側・外側側副靭帯断裂、アキレス腱断裂
- ④ 関節疾患
- 肘関節形成不全、離断性骨軟骨症、上腕二頭筋腱鞘滑膜炎、関節炎、変形性関節症、退行性関節症
- ⑤ 神経疾患
- 椎間板ヘルニア、環軸椎脱臼/亜脱臼(不安定症)、頸部脊椎不安定症、神経根症、馬尾症候群、変形性脊髄症
- ⑥ 成長期疾患
- 股関節形成不全、肘関節形成不全(前腕変形)、成長板早期閉鎖、大腿骨頭虚血性壊死(レッグペルテス病)、骨軟骨症

かかりやすい犬種、発症しやすい年齢
整形外科疾患は、猫より犬に多く見られる病気です。しかし、一口に犬といっても、犬種によってかかりやすい病気や発症しやすい年齢がさまざまであることがわかっています。
※参考資料/アニコム家庭どうぶつ白書2024より
手術について
当院は前十字靭帯断裂を修復する最新の手術法
TPLO(Tibial Plateau Leveling Osteotomy =脛骨高平部水平化術)の対応病院です
TPLO(Tibial Plateau Leveling Osteotomy =脛骨高平部水平化術)の対応病院です
整形外科手術は、高度な手技と特殊な器具・機材、より徹底した感染防止対策を施せる衛生環境が求められることに加え、最新の知見と世界水準の技術なくしては臨めない難易度の高い手術も多いことから、対応できる一次診療病院は限られている現状があります。
ことう動物病院は、外科に精通し、とりわけ整形外科に強みを持つ病院として、皆様のかけがえのない家族である動物たちの外科治療に最善を尽くしてまいります。

TPLO手術では骨切りや掘削、インプラントの固定などを行うためにパワーツールと呼ばれるピストル型の専用器具を用います。当院では英国 DeSoutter MEDICAL社のVdriveを使用しています。脛骨を半円状に切るためのブレード(特殊な医療ノコギリ)やドリルなど、アタッチメントを付け替えることで超小型犬から超大型犬までTPLO手術が可能です。




跛行診断と検査
足を引きずるなどの跛行は、運動器の障害や痛みの回避などが原因で生じます。問診、視診のあと、下記3つの検査を重ねることで原因を特定していきます。
- 1整形外科的検査
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立位での姿勢姿勢、頭部の高さ、四肢の負重バランスなどを評価します。歩行の評価歩幅や歩行時の姿勢を診て異常肢を検出します。触診異常肢に触れて、腫れの有無や筋肉のつき方など異常の詳細を調べます。
関節を屈伸させたり骨の上から圧をかけて押すなどして反応を見ます。 - 2神経学的検査
- 脊髄反射や脳神経の検査を行うことで運動制御系の評価をします。
- 3画像検査
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レントゲン検査骨や関節などの組織構造・状態を評価します。CT検査レントゲンより微細な構造の評価が可能です。エコー検査腱や靭帯、軟骨の構造・状態を評価します。X線による画像検査についてレントゲンは動物を保定した状態で撮影できるので無麻酔でできますが、CTは呼吸を含め体動があると正確な画像が得られないので麻酔が必要になります。レントゲンによる一方向からの照射だけでは描出が難しい場面ではCTを併用してより微細な撮像を得ることが重要になります。
CTを併用すると、精細な輪切り画像だけでなく、デジタルデータを統合することで立体的な3D画像を作成することが可能です。 - その他の検査
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感染や免疫異常、特殊疾患などが疑われる場合は他の検査も併用します。
血液検査内分泌検査関節液検査など
当院対応特殊手術(整形外科)
- 股関節
- FHO 大腿骨頭切除術
- 膝関節
- TPLO 脛骨高平部水平化骨切り術
- 整復
- 骨折整復プレート術
